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Li, X. F.*; Chen, Z. Q.*; Liu, C.*; Zhang, H.; 河裾 厚男
Journal of Applied Physics, 117(8), p.085706_1 - 085706_6, 2015/02
被引用回数:23 パーセンタイル:68.13(Physics, Applied)280keV炭素イオン注入によりGaN中に導入される損傷を低速陽電子ビームを用いて研究した。陽電子消滅線エネルギースペクトルのドップラー拡がりから、原子空孔クラスターが導入されていることが分かった。800Cのアニールにより、それらはマイクロボイドに成長し、1000Cのアニールでも残留することが明らかになった。透過電子顕微鏡観察の結果、損傷層は非晶質化していることが分かった。GaN中におけるイオン注入によるマイクロボイドの形成と非晶質化は、炭素イオンに特有の現象と考えられる。
相原 純; 北條 喜一; 古野 茂実*; 志村 憲一郎; 北條 智博*; 沢 和弘; 山本 博之; 本橋 嘉信*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.441 - 444, 2006/01
被引用回数:1 パーセンタイル:12.86(Instruments & Instrumentation)CVD-SiCのTEM試料を色々な温度で20keVNeで1.510Ne/mまで照射して引き続き1273Kで焼鈍した。573と583K照射では照射により非晶質化が起こり、焼鈍によって結晶核生成が起こった。598K照射では部分的非晶質化が起こったが焼鈍による結晶核生成は観察されなかった。673K照射では非晶質化が起こらなかった。低温照射の結果も報告する。
相原 純; 北條 智博*; 古野 茂実*; 石原 正博; 沢 和弘; 山本 博之; 北條 喜一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 241(1-4), p.559 - 562, 2005/12
被引用回数:5 パーセンタイル:41.08(Instruments & Instrumentation)TEM(透過型電子顕微鏡)観察用に調整した炭化硅素(SiC)試料がTEM内で30keVNeまたは4.5keVHeイオンで室温で照射され、引き続き1273Kで焼鈍された。NeとHeは注入希ガス原子の濃度を変えるために照射イオンとして選ばれた。これらのイオン種のエネルギーとフラックスは同じようなdpa深さプロファイルとdpa速度を得るためにTRIMの計算に基づき選ばれた。この条件では、同じピークdpaに対してHeのピーク濃度はNeの約5倍と見積もられる。Heで6.3dpa(ピーク)まで照射した試料では結晶核生成が観察されたが、Neで15dpa(ピーク)まで照射した試料では観察されなかった。すなわち、He照射の場合はNe照射の場合よりも少ないdpaで結晶核生成が起こった。注入した不活性ガスの濃度が結晶核生成挙動に影響を与えることがわかった。
相原 純; 石原 正博; 北條 喜一; 古野 茂実*
Journal of the American Ceramic Society, 87(6), p.1146 - 1148, 2004/06
被引用回数:1 パーセンタイル:18.41(Materials Science, Ceramics)SiCをNe照射して非晶質化させ、1273Kで焼鈍した。一つの試料は60分連続焼鈍し、もう一つの試料はくり返し焼鈍した(5分10回)。非晶質SiC中での結晶核生成はくり返し焼鈍の方が連続焼鈍より起こりやすかった。
相原 純; 北條 喜一; 古野 茂実*; 石原 正博; 山本 博之
Proceedings of 8th Asia-Pacific Conference on Electron Microscopy (8APEM) (CD-ROM), p.722 - 723, 2004/06
SiCのTEM試料が20keVNeで573, 583, 598, 683Kで1.5x10Ne+/mまで照射され、引き続き1273Kで30分焼鈍された。573Kと583K照射の場合には、照射による非晶質化と焼鈍による結晶核生成が起こった。結晶核生成領域とエピタキシャル成長領域ではバブルの粗大化がはっきり観察された。593K照射の場合には部分的に非晶質化が起こったが結晶核生成は起こらなかった。673K照射の場合には非晶質化は起こらず、焼鈍によっての変化は観察されなかった。
北條 智博; 相原 純; 北條 喜一; 古野 茂実*; 山本 博之; 二谷 訓子; 山下 利之; 湊 和生; 佐久間 隆昭*
Journal of Nuclear Materials, 319, p.81 - 86, 2003/06
被引用回数:18 パーセンタイル:74.43(Materials Science, Multidisciplinary)岩石型燃料の母材として注目されている安定化ZrOの照射特性を調べた。核分裂片による照射損傷は、高エネルギー領域で生じる電子励起による損傷と低エネルギー領域で生じる核的衝突による損傷の二種類に大きく分けることができる。この中で、材料の損傷は、核的衝突によるはじき出しが主と考えられている。そこで、原研が開発して、低エネルギーイオン加速器付設高分解能電子顕微鏡を用いて、加速電圧35keVのNeイオンを室温から1200Cに加熱した上記材料に照射し、各温度による損傷形態の違いを明らかにした。その結果、Ne照射では、各温度領域で材料の非晶質化を観察することができず、対照射性が非常に高いことを明らかにした。さらに、同温度の重照射で、数nmのNeバブルが生じることを明らかにした。また、1200Cの高温照射では、バブルは、大きく成長し数十nmに成長することを電顕その場観察法を用いて明らかにすることができ、この結果から、高温照射によるスエリング量を推定することが可能になった。
有賀 武夫; 片野 吉男*; 大道 敏彦*; 岡安 悟; 数又 幸生*; 實川 資朗
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 197(1-2), p.94 - 100, 2002/11
被引用回数:9 パーセンタイル:51.46(Instruments & Instrumentation)アルミナ(AlO),スピネル(MgAlO),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデムからの85MeVのヨウ素イオンを110/m・sの線束で1.210/mまで室温照射した。透過電顕による観察の結果、スピネルではアルミナより~1m深くまで非晶質化が認められ、複雑な組成の方が非晶質化し易い傾向を見いだした。MgOでは非晶質化などの損傷は認められなかったが、X線回折の結果、約10m厚さの表面層で微結晶表面が(100)面に再配列することを新たに見いだした。透過電顕での電子線回折では認められないこれらの変化は、高エネルギーイオンの透過に伴う飛跡に沿って再配列が生じると考えられる。
有賀 武夫; 片野 吉男*; 大道 敏彦*; 實川 資朗
Surface & Coatings Technology, 158-159, p.444 - 448, 2002/09
アルミナ(AlO),スピネル(MgAlO),マグネシア(MgO)焼結体試料にタンデム加速器からの85MeVのヨウ素イオンを110/mの線束で最高1.210/mまで室温照射した。1.210/mまで照射したスピネルでは~6mの深さまで完全に非晶質化したことが、透過電顕の観察からわかった。しかし結晶粒によっては6.5mの深さまで非晶質化が起こり、イオンの飛行方向と粒の方位に関係して非晶質化が起こることを指摘した。またスピネルでは、アルミナで認められたような、非晶質化しかかっている粒が、既に非晶質化した表面近くの領域に移動する現象は生じない。さらにスピネルとマグネシアでは照射後3~3.5年で、表面に0.1m以下の厚さの、金属光沢をもって薄膜が形成された。今後、この形成のメカニズムを明らかにする必要がある。
相原 純; 北條 喜一; 古野 茂実*; 石原 正博; 林 君夫
Journal of Electron Microscopy, 51(2), p.93 - 98, 2002/05
被引用回数:6 パーセンタイル:20.46(Microscopy)SiCは高温用・耐放射線用構造材料及び半導体として期待される材料である。照射下での使用が考えられることから照射下の挙動及び焼鈍による回復に関する基礎的研究は重要である。本研究では透過型電子顕微鏡観察下で-SiCをイオンで室温照射し、照射後焼鈍による組織変化をその場観察した。照射種としては不活性ガスであるNeイオンを用いた。イオンフルエンスを変え、5種類の試料を照射し、400-1100の範囲で等時焼鈍した。照射により、5種類の照射はすべて非晶質化した。焼鈍により、だいたい同じようにエピタキシャル成長が起こった。照射量の多い試料では1000、照射量の少ない試料では1100焼鈍によって大量の新しい結晶核が生成した。また、1000焼鈍によって、大量の核生成が起こった試料でも起こらなかった試料でもバブルの成長もしくは生成が観察された。核生成の照射量依存性について考察した。
高広 克巳*; 竹島 直樹*; 川面 澄*; 永田 晋二*; 山本 春也; 鳴海 一雅; 楢本 洋
JAERI-Review 2001-039, TIARA Annual Report 2000, p.188 - 189, 2001/11
窒素イオン注入によるガラス状炭素の表面改質の研究において、表面粗さの増大が問題になった。そこで、非晶質炭素の結合状態を変更するため、水素イオンの追加注入による効果を調べた。実際の実験では、水素イオン注入の代わりに重水素イオンを注入して、結合状態と表面粗さとの相関を調べた。その結果、炭素-窒素の結合状態は表面粗さの増大に関係し、一方水素を付加的に導入すると、炭素,窒素及び水素が3元系の化合物を作り、その結果表面平滑性が保たれることを見出した。
村松 康司; 広野 滋*; 梅村 茂*; 上野 祐子*; 林 孝好*; Grush, M. M.*; Gullikson, E. M.*; Perera, R. C. C.*
Carbon, 39(9), p.1403 - 1407, 2001/06
被引用回数:18 パーセンタイル:58.33(Chemistry, Physical)電子デバイスなどの超硬質表面保護膜として注目されているスパッタカーボン膜の膜質向上・制御を目指し、分子レベルでの化学結合情報を取得することとその局所構造を解明するため、系統的に条件を変化させて成膜したスパッタカーボン膜のCKX線発光吸収スペクトルを測定した。分光測定はAdvanced Light Sourceにおいて行った。その結果、従来のEELSでは識別できなかった微細構造を吸収スペクトルにおいて観測するとともに、発光スペクトルにおけるショルダーピーク強度と吸収スペクトルにおける微細構造ピークの相対強度比が成膜条件に依存することを見いだした。得られたX線スペクトルをDV-X分子軌道計算法により解析した結果、これらのスペクトル形状はsp炭素原子とsp炭素原子の結合の組み合わせによって定性的に説明できた。
阿部 弘亨
炭素素原料科学と材料設計,3, p.5 - 14, 2001/00
イオン注入/照射下においては物質中に格子欠陥を注入イオンが蓄積する。その結果、非晶質化などの相変態や新規注入が形成される。本稿では炭素系において観測される非晶質化ならびに同心球状黒鉛ナノ粒子(カーボンオニオン)について、最近のわれわれの研究成果を総説した。まず、非晶質化線量の温度依存性からイオン注入条件を確立した。すなわち700K以上の高温では非晶質化せず、黒鉛の結晶構造が保持され、イオン注入で形成されるオニオンの結晶構造が安定であるとの指針を得た。またイオン注入後ならびにその場観察実験によって、オニオンの核形成・成長・集積過程を明らかにした。さらに多量生産に関する技術的基盤を整えた。
有賀 武夫; 片野 吉男; 大道 敏彦; 岡安 悟; 数又 幸生
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 166-167, p.913 - 919, 2000/05
被引用回数:32 パーセンタイル:86.9(Instruments & Instrumentation)電気絶縁体であるセラミック材料の照射損傷機構を解明するため、アルミナ焼結体に85MeV沃素イオン(I)を最高110/mまで室温で照射し、損傷組織を入射方向に沿って11mの深さまで観察した。表面から約4mの深さまでは照射によってほとんど非晶質化し、6.5mより深い領域では結晶粒組織がほぼ完全に残る。4~6.5mの間の、結晶-非晶質の遷移領域では非晶質領域を表面に向かって移動したと認められる粒や、その途中で微細化した粒が観察された。従来、セラミック(アルミナ)の非晶質化は、核的エネルギー付与によるはじき出し損傷の関数で整理されてきたが、今回の結果は、はじき出し損傷がピークとなる7~9mの深さの範囲では非晶質化が認められず、電子系へのエネルギー付与が大きな4mまでの範囲で顕著な非晶質化を認めた。
小田 治恵; 雨夜 隆之*
JNC TN8400 98-001, 14 Pages, 1998/11
126Snは半減期110sup5[y]の-放出核種であり、高レベル放射性廃棄物の地層処分性能評価研究において重要となる核種の一つである。処分環境条件におけるSnの挙動を把握する上で重要となる熱力学データは少なく、処分環境条件における溶解度評価下において溶解度データが取られた例は、高pH領域を除いては報告されていない。本研究では、溶解度評価において重要となる配位子(OH-,Cl-およびSO/sub4/sup2-)濃度と溶解度との関係を調べることを目的とし、Na-ClO4-Cl-SO4水溶液系およびベントナイト平衡液系における非晶質のスズ酸化物(15)(錫酸、SnO2・xH2OまたはSnO2(am))の溶解度を測定した。NaClO4系における溶解度データは、pH611の範囲でpH依存性を示し、それによりSn(IV)の加水分解定数が求められた(Amaya、1997)。また、Na-ClO4-Cl-SO4系においては、Cl-、SO/sub4/sup2-濃度を変化させても溶解度データが変わらなかったことから、Sn(IV)の塩化物錯体や硫酸塩錯体が加水分解種よりも支配的にはなり得ないことを示した。一方、ベントナイト平衡液系での溶解度データは、ベントナイトを用いなかった他の実験よりも高い溶解度を示した。実験結果は、以下を示唆する。処分環境条件の下では、(1)Sn(IV)の液相化学種として、加水分解種、塩化物錯体および硫酸塩錯体以外の化学種が支配的に存在する可能性がある。(2)SnO2(am)以外の固相が、溶解度制限固相として存在する可能性がある。
宇賀神 光弘; 赤堀 光雄; 伊藤 昭憲; 大岡 紀一; 中倉 優一
Journal of Nuclear Materials, 248, p.204 - 208, 1997/00
被引用回数:8 パーセンタイル:56.36(Materials Science, Multidisciplinary)ホットプレス法とピクチャーフレーム法とにより調製したUSi基燃料をJMTRで照射した。燃焼度は、最高約60%FIFAで照射温度は約190C~280Cであった。照射後試験の結果、次のことが分かった。中性子照射によって燃料は、液体類似の性質を示すことから示唆される非晶質化を起こすとともに塑性変形する。この結果、FPガス気泡が成長・粗大化しスエリングは大きくなる。この燃料スエリングは、被覆材の拘束力により抑制できる。USi-Al反応に関しては、USi表面の酸化前処理によって反応層の厚みは著しく減少する。
片山 芳則
高圧力の科学と技術, 6(4), p.216 - 221, 1997/00
X線吸収法を用いた高温高圧下での新しい密度測定法を、放射光と大容量プレスを組み合わせて開発した。本稿ではこの方法について解説する。従来、数GPaといった高圧下での液体や非晶質の密度測定は、実験的な困難のため限られた研究しかなかった。新しい方法は、この領域での密度を効率的にかつ精度よく測定することを目指したものである。X線吸収法を高圧実験に適用するためには試料の厚みの評価が問題となる。これを解決するために、試料内に厚みの基準となるものを入れたり、試料をセラミック製の容器に入れたりする方法を考案した。この方法を用いて、結晶及び液体テルルの密度を5GPa、700Cまで測定した。また、さらに精度よい測定を目指して第3世代放射光施設ESRFでも測定を行った。これらの実験結果を紹介し、この方法による測定の現状、問題点、これからの発展について述べる。
北條 喜一; 古野 茂実; 大津 仁*; 出井 数彦*; 笹嶋 尚彦*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research, 127-128, p.203 - 207, 1997/00
低速イオン照射にともなうTiC結晶の構造変化とその電子状態を電界放出型電子顕微鏡と透過電子エネルギー損失分光装置(EELS)を用いて観察・測定した。その結果、18Kにおける水素照射で非晶質相の形成を観察した。又、EELSによる測定からTiC結晶のプラズモン損失ピークが0.6eV低エネルギー側にシフトすることを初めて見い出した。この変化は重水素照射では観察・測定できなかった。又、非晶質相の再結晶化温度を測定した結果、約1173Kであることを明らかにした。
北條 喜一; 大津 仁*; 古野 茂実; 笹島 尚彦*; 出井 数彦*
Journal of Nuclear Materials, 239(1-3), p.279 - 283, 1996/00
被引用回数:14 パーセンタイル:74.17(Materials Science, Multidisciplinary)TiCは低温(~20K)照射において非晶質化し難い物質であるが、水素イオン照射では非晶質化が起る。これは水素とTiやCとの化学結合が再結晶化を妨げているためと考えられる。一方、重水素イオン照射では非晶質化は起こらない。これはトンネル効果による化学反応のし易さが水素と重水素とでは10~100倍異なり、この効果が極低温で現れたものと推論した。
立川 博一*; 出雲路 敬明*; 土井 基尾*
PNC TJ1214 95-002, 37 Pages, 1995/03
本研究では、ウランの非晶質固相(UO2/xH2O)の結晶性固相(UO2(cr))への変遷過程を短期的ウラン液相濃度変化試験および加速試験により実験的に求めるとともに、得られた結果を解析し、メカニズムの推定に基づく速度式、速度定数の取得を行った。以下に得られた結果を示す。(1)短期的変化試験でウラン液相濃度は、ウラン非晶質生成直後では、210-5mol/lとなり、試験開始24時間では510-9310-8mol/lとなった。(2)加速試験より、加熱保持により結晶化が進行したが、著しい結晶化の進行で沈澱固相にイオン交換反応由来と見られるpH減少が生じた。結晶化度約50%の試験系では、液相ウラン濃度が短期的変化試験と同等となった。(3)8種類の固相変遷のモデルの検討を行い、このうち汎用性が高いと考えられる2種類のモデル〔U(OH)4(aq)を考慮したUO2(am)-UO2(cr)、UO2(am)-UO2(s、cr)-UO2(cr)のモデル〕を作成した。(4)速度式、速度定数の算出手順の検討を行い、作成したモデルに基づき実験データ解析(短期および長期試験)を行なった。UO2(am)-UO2(s、cr)-UO2(cr)のモデルを用いた場合は、測定された固相の変遷及びウラン濃度の挙動を再現することができた。(5)固相の変遷に及ぼす放射線の影響度に関する調査を行った結果、分子動力学法によるモデル解析が候補として考えられることが分かった。
立川 博一*; 出雲路 敬明*; 土井 基尾*
PNC TJ1214 95-004, 187 Pages, 1995/02
本研究では、ウランの非晶質固相(UO2・xH2O)の結晶性固相(UO2(cr))への変遷過程を短期的ウラン液相濃度変化試験および加速試験により実験的に求めるとともに、得られた結果を解析し、メカニズムの推定に基づく速度式、速度定数の取得を行った。以下に得られた結果を示す。(1)短期的変化試験でウラン液相濃度は、ウラン非晶質生成直後では、210-5mol/lとなり、試験開始24時間では510-9310-8mol/lとなった。(2)加速試験より、加熱保持により結晶化が進行したが、著しい結晶化の進行で沈澱固相にイオン交換反応由来と見られるpH減少が生じた。結晶化度約50%の試験系では、液相ウラン濃度が短期的変化試験と同等となった。(3)8種類の固相変遷のモデルの検討を行い、このうち汎用性が高いと考えられる2種類のモデルU〔(OH)4(aq)を考慮したUO2(am)UO2(cr)、UO2(am)UO2(s、cr)UO2(cr)のモデル〕を作成した。(4)速度式、速度定数の算出手順の検討を行い、作成したモデルに基づき実験データ解析(短期および長期試験)を行なった。UO2(am)UO2(s、cr)UO2(cr)のモデルを用いた場合は、測定された固相の変遷及びウラン濃度の挙動を再現することができた。(5)固相の変遷に及ぼす放射線の影響度に関する調査を行った結果、分子動力学法によるモデル解析が候補として考えられることが分かった。